偏心のある建物の安全限界耐力の計算では、Fesを適用して当該層の耐力を低減する場合(case1)と増分解析を行う際に外力分布形の段階からFesを考慮する場合(case2)の2つの方法が示されている。前者は建物の振動性状に基づくものであり理解できるが、後者の方法は外力分布形にFesを導入することで外力分布形が1次モードから外れる(Fesの影響度にもよるが)ことになり、振動性状に基づかない計算を行うことにならないか?
地盤が液状化を起こす可能性がある場合、地盤の剛性を適切に評価して地盤増幅率を算定すれば、限界耐力計算を適用することは可能であるか。また液状化を判定する際の表層加速度はどのように設定すればよいか?
限界耐力計算の設計用地震力は建物の固有周期に基づいて、法に規定された方法で求めることになっている。これが従来の手法(許容応力度等計算)と大きく異なる点と考えている。これは目標性能(の最低限)を法が示したのだと見てよいか?
固有周期の算定にあたって、剛性マトリックスを用いた固有値解析等を行うのは実務上比較的普及していると思われる(結果の評価は別にして、算定経過はブラックボックス化しているが)。これに対して限界耐力計算では層の「せん断ばね定数」を用いて固有周期をもとめている。精度の問題はあると思うが行政側による審査面ではチェックしゃすい(計算経過および結果が明確に把握できる)という利点もあり大いに普及させるべきだと思う。
設計例2において部材の限界変形の算定にあたって、「なお、部材のせん断変形による変形は、安全側に評価してここでは0とする。」としているが、常にどのケースでもせん断変形は0でよいのか?
従来から建築確認時の法的な審査においては応カ?変形解析に関して関知していなかったと思う。今回、固有周期の算定に関して力?変位関係の規定が定められている。解析手法そのものに関しては従来同様設計者の選定に任されているとみてもよいのか?
従来は1次設計=弾性解析、2次設計=増分解析という2分された手法が用いられている。今回では弾性・弾塑性の区分は法的に規定されていないので、増分解析のみで全領域をカバーすることができると理解してよいのか?
1次設計レベルでもコンクリートのひび割れを考慮するなど非線形領域に踏み込んでいる場合も結構多いようである。逆に、それを取り入れないと審査の面で拒否反応を示される場合もあるのではないか。手法を特定しない規定からみて、解析部分に関しては設計者の選択に任せていただけるとみてよいのか?
従来は部材レベルの塑性域での規定はなかったが、今回は告示において塑性域での部材角の規定がある。各種基準・指針・実験等による部材性能の設定を行ってもいいか? (設計例は規定を使っていない)
計算により求められた部材の回転角に対し、その回転が保証されるための部材の検証方法がわからない。RC、Sで部材の断面形状によっては検討式があるようだが、SRCの場合などがわからない。